以前、デジタル人材を育成する教育機関で働いていたときのことです。最先端のテクノロジー技術を習得し自分らしく活躍する方たちと語り合う中で、成功している人にある共通点を発見しました。
それは、その人が作る作品や商品・サービスの中に、その人ならではの思いや強い内的動機が存在しているということでした。テクノロジー技術やスキルの高さなどとは関係なく、です。
子どもも同じです。たとえばパソコンの使い方を習ったとしても肝心の「パソコンを使って何をしたいか」が見つけられなかったとしたら?
大切なのは道具の使い方を教わる前に、「自分は何をしたいのか」「何が好きなのか」を自分自身でみつけること。そのためには「これが好き!」「それカッコイイ!」「この気持ちを誰かに伝えたい!」「喜ばせたい!」そんなふうに自分の内側にある気持ちと向き合うことが何よりも大切な時間となるのです。
子どもたちには道具や手段を教わる前に、自分の内側にある思いに目を向け、ゆたかな体験を通して自分なりの美意識をみつけていってほしい。私自身子どもをもつ親として、そう強く願うようになりました。その手段として花は最高の学びのツールです
デジタル業界出身の花屋の三代目の使命として、この「教えない」フラワーアレンジメント教室に取り組んでいます。この教室で多くの子どもたちが自分自身と向き合い、不確かな時代を生き抜く土台となる豊かな人間力を醸成してくれればうれしく思います。
花工房あげたけ 三代目啓一